デジタルツールで新しい価値を提供し、変わらぬ価値を追求する
医師や薬剤師の先生方に医療用医薬品の情報を提供するMR(Medical
Representatives、医薬情報担当者)。800品目ものジェネリック医薬品を扱う沢井製薬のMRは、患者さんのQOL(Quality of
life=生活、人生の質)まで変えるような、トータルな提案を行うことができます。
現在は領域を拡大し、デジタルツールも扱うようになりました。しかし、追求していることは不変。それは「地域医療を支える人々と信頼関係を築くこと」です。
そんな沢井製薬のMRの姿を、パーソナルヘルスレコード(PHR)管理アプリ「SaluDi(サルディ)」の医療機関への導入の取り組みを通して紹介します。
メンバー

S.O
営業本部 名古屋支店
営業1課
理工学部卒
2008年 新卒入社

K.M
営業本部 名古屋支店
営業1課
経済学部卒
2017年 中途入社
SaluDi概要

医療のDX化に貢献、医療の選択肢を広げる可能性も秘める
SaluDiを医師や医療関係者に提供する価値とは?
デジタル技術を活用して、業務の流れや組織などを変革していくDX化の流れは、医療業界を吞み込もうとしています。ただ、医療現場のDX化は、まだまだ進んでいないという印象です。医師の先生方も必然性は感じつつ、まだ明確なイメージをお持ちでなかったり、具体的にどう取り組めばいいか悩んでいる方が多いのが現状のようです。

そんな中でSaluDiを提案することで、「DXってこういうことか」という気づきや、「ここから始めればいい」といったきっかけを提供できます。
実際にパソコンの画面をお見せした瞬間、先生の顔色が変わります。診療で患者さんに説明しているイメージを想起しておられるのだと思います。
無料で導入できるのも大きいですね。特にクリニックは先生が経営者でもある場合が多いので、メリットを感じていただけます。
SaluDi同様にバイタルチェックができる有料のPHRアプリも世の中にはありますが、それらと比較しても性能面で負けていません。生活習慣病の治療など、より濃く深い診療に十分活用できると思っています。実際、SaluDiを用いることで血圧を管理、改善した症例があります。
SaluDiは医師の先生と一緒に作り上げていくことができるという特徴があります。我々MRが先生からの要望や意見を吸い上げ、営業統括部や開発を担当するグループIT部などと連携して一丸となって改善に取り組んでいます。
全国で活動を展開している我々MRが医療関係者の意見を吸い上げるからこそ、現場のリアルな声や意見を拾いやすく、それをもとにした改善ができます。
もちろん、何かトラブルが発生した場合にはすぐに私たちが駆けつけます。密な連絡やトラブルシューティングができることも、付加価値と感じていただいています。
患者さんへ提供している価値は?
まず、スマートフォンでバイタルデータを管理できること。生活習慣病の患者さんは、紙の血圧手帳やノートを持って通院している方も多いですが、持って行くのを忘れてしまうこともありますし、持ちたくない方もいらっしゃいますから。
医師から日々の血圧を管理してもらえるというのは、患者さんにとって安心感があると思います。さらに、医師から患者さんにメッセージを送ることも可能です。
健康な方や未病の方にも、SaluDiはお役に立てるツールだと思っています。通院などをしていなくても、血圧を測り管理したい方はいらっしゃいます。そういう方が、スマートフォンでご自分の健康を管理することで健康への意識、行動が変わっていきます。
医療関係者、患者さん、あるいは未病の方と、多くの方々に役立ち、意識や行動を変える可能性があるということ。少し大げさに言えば、SaluDiを広めることは医療の選択肢を広げることになるのではないかと感じています。
一人ひとりが考え、みんなで盛り上げながら、広めていった
開発からこれまでの経緯を教えてください。
当時、名古屋支店の支店長が開発に関わった経緯もあり、我々名古屋支店のMRから普及に向けた動きがスタートしました。
ただ、リリースして最初の1年間はあまり広まりませんでした。MRがSaluDiのメリット/デメリットをよく理解していなかったことが理由です。無料ですし、短期的な利益目線のサービス提供ではないこと、そしてノルマが課されているわけでもありませんでしたので。
そもそもSaluDiを提案する我々に、沢井製薬のプロモーションを行っているという意識はあまりないんです。
サワイグループの「未病・予防から診断・治療まで、幅広いサービスを提供するヘルスケア企業として地域に提案していく」というビジョンに基づいて活動をしている感覚は、常にあります。

そんな中でも、当時の支店長はSaluDiが提供できる価値を熱心に説き続けました。
それがきっかけとなり、私自身、ちょっとやってみようかなと。デジタルは得意ではありませんが、周りの詳しい同僚にいろいろと聞きながらチャレンジしてみました。
最初に医療機関への提案を行ったメンバーが、反応や失敗例をロールプレイなどで共有してくれました。どう提案すればいいか分かり、腹落ちしたのは大きかったですね。
また、誰かが成功すると、周りが褒め合う文化があります。それでどんどんやる気になって、支店全体で一丸となってSaluDiを盛り上げていきました。
どうやって広めていくかは、一人ひとりが考え、実行していきました。
私は、担当する地区にSaluDiを広げていくため、医薬品卸の企業との連携を強化しました。
一人のMRが担当する医療機関は600から800軒ほどですが、すべて訪問するのは困難です。ただ、卸のMS※さんと一緒であれば不可能ではないですし、その数を増やすこともできます。
医薬品卸の皆さまも、最近は物流サービスだけでは差別化が難しいため、未病やデジタルサービスの領域に手を広げています。その中で、SaluDiがお役に立てるのではないかと。一緒に取り組みを進めることで、登録していただける医療機関を増やすことができました。
※MS(Marketing Specialist)の略で、医薬品卸販売担当者(医薬品卸売会社の営業職)のこと
私は、エリアの特性に応じた提案を行いました。
我々MRはエリアマーケティングを積極的に展開し、地域ごとの医療機関の関心事は何か、情報収集をしています。これを活用し、整形外科のクリニックが多い地域にはSaluDiの歩数が記録できる機能を前面に押し出して案内しました。
直近では、全社向けのオンライン講演会を企画、開催しました。
患者さんの登録数が多い医師の先生をお呼びした座談会形式のもので、MRが抱えているSaluDiに関する悩みを先生に直接投げかけ、回答していただきました。
大盛況でしたね。MRはもちろん、内勤スタッフや営業部門以外の社員も参加していました。みんな関心を持っていたようです。先生にも喜んでいただきました。
当日、反響が大きかった話の一つに、能登半島地震でのエピソードがありました。
先生がレスキューで現地に向かわれたのですが、血圧手帳の紙媒体を持っている患者さんが1人しかいなかったらしいのです。先生曰く、「患者さんがこのSaluDiをスマートフォンにインストールしていれば、もっと簡便に患者さんのバイタルをチェックできたのに」と。私自身、とても印象深く、SaluDiの価値を改めて感じました。
患者さんの人生を変えるトータルな提案ができるのが、沢井製薬のMR
取り組みを進める中でやりがいを感じた点は?
SaluDiは、看護師の方々からも非常に喜ばれます。看護師が患者さんの血圧平均値などを記録している医療機関もあり、負担が軽減します。「これ、使ってるわよ!」と直接看護師の方から声をかけられたこともありました。嬉しかったですね。製薬メーカーですので、今までは院長、医師、薬剤師の方々と主に接してきましたが接点を持つことができる職種が広がりました。また、医療全体に貢献できる実感が、より得られるようになりました。

MRとしては、トータルで提案ができるようになったのも嬉しい点です。単に製剤を提案するのではなく、SaluDiのデータをもとに当社の薬を組み合わせて、患者さんの生活習慣病治療やQOL向上のための提案ができます。
当社の販売構成は約4割が生活習慣病の治療薬です。少子高齢化が進む今、生活習慣病治療薬に対するニーズも高まっていく中で、強力な武器になると思います。
ある医師の先生とSaluDiの話で盛り上がった後、帰り際に「何でも困ったら相談してね」と声をかけていただいたことがあります。すごく嬉しかったですね。
我々MRが来たら「また、医薬品の情報提供かな?」という印象のみの先生もいる中で、SaluDiを介することで先生と純粋に患者さん目線で話ができます。だからこそ信頼を得ることができたのだと思います。
そういう意味で、SaluDiは新しい価値を提供できるツールであるとともに、医療関係者との信頼関係構築という、これまで我々MRが取り組んできた価値の追求にも役立つツールなのだと思います。
この取り組みに限らず、沢井製薬のMRの面白さ、やりがいは?
1点目は、ズバリ、患者さんの人生を変えられること。
生活習慣病の場合は特にですが、患者さんは数種類の薬を服用されています。それがすべてジェネリック医薬品に変わった場合、大きく医療費が削減できます。QOLも当然変わってくる。それを、我々が先生に「ジェネリック医薬品に切り替えませんか?」と提案することで、実現できます。
2点目が、国民皆保険制度を維持するためにジェネリック医薬品、ひいては当社が多分に寄与しているということ。その意義も大きいと思います。
今、日本に出回っている薬の約10分の1が沢井製薬の製品です。多くの人たちが当社の製品に関わるからこそ、多くの人に貢献できます。
3点目は、多品目を扱うことができること。
私は以前、新薬(先発医薬品)メーカーに所属していたのですが、扱う製品は多くても5、6品目でした。
沢井製薬は800品目もの薬を扱っていますので、患者さんの状況に貢献するトータルな提案を先生に行うことも可能です。すごくスケールが大きいと思います。
さらにSaluDiなど医薬品以外のサービスを組み合わせれば、医療に我々が参画できる可能性ももっと広がっていくと思います。
多品目を扱うということは、未病から予防、そして治療までに関われるということです。
そのため、診療報酬改定や医療制度の知識、最近ではデジタルの知見など、幅広く勉強できる仕事だと思います。
個人的には、ワクワク、活き活き働くというのが私のポリシーなのですが、沢井製薬ではそれができると思っています。
人財に対する考え方に「個を育て、個を活かす」というのがあるのですが、一人ひとりが工夫しながら営業ができる当社の社風は、まさにそれ。一方で孤立することもない。いろいろな人から組織を越えて助けてもらえますし、相談できる環境もあります。
さらに、「なによりも患者さんのために」という企業理念に、社員全員が共感している印象があります。志を同じくする人たちと仕事ができることにも、ワクワクします。
デジタル化が進む現在、沢井製薬のMRは、SaluDiなどデジタルツールを通じて新しい価値を提供できます。一方で、医師や薬剤師など医療関係者の信頼を得るために、我々MRが沢井製薬の代表として、直接お会いしてお話をすることも大事だと考えています。
私は新卒で入社以来ずっとこの会社に在籍していて、沢井製薬のことが好きですし、他の社員のことも信頼しています。その絆の中で、しっかりと医療関係者の方々に対して自分たちの価値を伝えていく使命、義務がMRにはあると思っています。そのやりがいは大きいと感じています。
※こちらの掲載情報は2025年3月末の情報です。