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患者さんのために、どこよりも早く確実に、薬を世に出すことを目指して

研究開発職の魅力

添加剤の配合量も製造方法もほとんど分からない中で、新薬(先発医薬品)と同等の効き目でありながら、さまざまな付加価値を持った医薬品を研究し、さらに、できるだけ早く確実に患者さんのもとへ届けることを目指す。そんな沢井製薬の研究開発職は、新薬メーカーとも、他のジェネリック医薬品メーカーとも違った風土と環境の下で、研究開発を進めていくことができます。
これまでに30品目に及ぶ医薬品の研究開発に取り組み、現在はその経験を活かして、広報というまったく異なる領域にチャレンジしている社員に、沢井製薬の研究開発職の魅力を聞きました。

メンバー

N.I

コーポレートコミュニケーション部
薬学部薬学科卒

2013年 新卒入社

「レシピ」もない中で、先発医薬品と同等の効き目かつ付加価値を持った医薬品を研究開発する

ジェネリック医薬品の研究開発の特徴は?

特許が切れた先発医薬品と同等の効き目で、さらに、飲みやすい味であったり、飲みやすい大きさにするなどの付加価値を持った医薬品を研究開発する——これが、サワイジェネリックの研究開発の基本です。
ジェネリック医薬品と新薬の研究開発の違いは、まず、上市、つまり医薬品が世の中に出るまでの長さが挙げられると思います。

一般に、新薬メーカーは有効成分を見つけることから始まるため、研究開始から製品が販売されるまで、20年から25年と言われています。また、研究開発した医薬品を実際に販売できる確率は何万分の1とも。自分が関わった医薬品が、退職するまで一度も販売されない研究者もいると聞いています。
これに対して、ジェネリック医薬品メーカーの場合は、すでに有効性・安全性が確認されている有効成分を使って製品にするため、開発着手から販売するまで7、8年と言われています。そのため、自分の手がけたものが世に出て、広まっていくことを何回も経験できます。私自身、関わった医薬品は、主担当、副担当だったものも含め、入社11年半で29品目に上ります。

ジェネリック医薬品開発ならではの難しさは?

まず、先発医薬品に関する情報——例えば有効成分の詳しい情報や使われる添加剤のグレード、配合量は、すべてが公開されているわけではないこと。また、医薬品にはいろいろな製造方法があって、それによって効き目が変わることもあるのですが、その製造方法もほとんど公表されていません。
少ない情報を調べ、先発医薬品のおおよその処方(添加剤の組み合わせ)と製造方法を推測し、さらに付加価値を持った医薬品を開発していかなければなりません。
例えるなら、美味しいカレーライスが先発医薬品で、そのレシピがまったく分からない中で再現しつつ、美味しさの審査をクリアしながらさらに別の魅力を加えて、お店に出すようなものです。

付加価値をつけることも、難易度の高さにつながります。
一例で言うと、大きな錠剤を小さく飲みやすくしようとする場合、添加剤——錠剤を固める結合剤や口内に入ったときに溶かすための崩壊剤など、医薬品にさまざまな性質を加えるもの——を減らせば小さくすることはできます。
しかし、それによって錠剤中の原薬の濃度が高くなり過ぎると、苦い原薬の場合、服用したときに余計苦く感じてしまいます。また、原薬の性質を添加剤で消すことができず、製造時のトラブルに発展するリスクもあります。

なによりも患者さんのために、目指すは「一番手で確実な上市」

沢井製薬の研究開発のポリシーは?

今お話ししたジェネリック医薬品の研究開発ならではの難しさがあるうえで、さらに沢井製薬では「一番手で確実な上市」、つまり、どの会社よりも早く、確実に販売することを目指しています。
これは沢井製薬の研究開発の価値観として代々受け継がれています。
なぜ、一番手で確実な上市を目指すのか。新薬より安価なジェネリック医薬品を早く世の中に出すことが、患者さんの負担軽減にそれだけ早くつながるからです。

また、「なによりも患者さんのために」という企業理念を単なるスローガンではなく、自分のポリシーとしている研究員も多いと思います。
先ほどお話したように付加価値をつけることで難易度も高くなりますが、壁に突き当たったとき「なによりも患者さんのために」を思い返すことで、「患者さんのためになるならやるしかない」と思うことができる。この言葉があるから、チャレンジできることも多いと私は思っています。

沢井製薬の研究開発の特徴は?

ジェネリック医薬品メーカーは、そもそも新薬メーカーに比べて手がける品目数は多いのですが、沢井製薬が現在取り扱っている品目数は約800にも及びます。500品目以上を取り扱っているジェネリックメーカーは数社しかありません。
研究開発を行っている品目数も、時期にもよりますが常時30、40品目ほど。1人の研究員が、常に1品目は何らかの研究開発を行っているイメージでしょうか。
品目数が多いだけでなく、錠剤、カプセル剤など剤形も多種多様。私も、普通錠、口腔内崩壊錠、カプセル、細粒、チュアブル錠とさまざまな医薬品の研究開発に関わってきました。いろいろな剤形を経験できるのは、沢井製薬の研究開発職の特徴だと思います。

また、現在、沢井製薬では、自社のオリジナル技術を集約して、「SAWAI HARMOTECH®」「QualityHug®」などにブランド化する戦略を進めています。
ある特定の品目だけに適用されるのではなく、いろいろな品目に活用できる技術で、当社のこれまでの研究開発の中で培ってきたノウハウやアイデアによって開発された技術がたくさんあります。それはジェネリック医薬品メーカーでも珍しいでしょう。それに、特許の「発明者」の欄に自分の名前が登録されることもあるので、研究開発職としてのモチベーションになります。

たくさんの品目を開発し、確実な一番手上市を目指しながら、気づきがあれば自ら検討し、特許取得につながるような研究開発も進めていく。
また、研究開発職同士で気軽に相談し合える雰囲気があるので、「今、そんなことをやっているんだ、面白そう」となれば、自分の研究にも取り入れたりしています。課題に対してはグループミーティングでアイデアを出し合ったりもします。
また、最近では、生成AIを課題解決の相談相手として活用しています。Microsoft社と協力し、当社が開発した製品の膨大な報告書データを、セキュリティを担保したうえでデータベース化し、課題に対して過去のデータから生成AIが解決案を提示してくれます。この生成AIを使用すれば経験が浅い若手社員でもベテラン社員のように課題解決に向けて効率よく検討することができますし、ベテラン社員でもアイデアの再発見があると思います。この生成AIの活用方法はトップダウンでの指示ではなく、社員の発想で生まれたもので、上司は、「開発や業務にプラスになるなら」と部下の意見に対して理解があります。
こんな研究開発環境は、沢井製薬ならではだと思います。

研究開発はどんな風に進めていきますか?

研究開発の流れは別表の通りですが、いろいろな部門が関わり合いながら、同時進行で進めていくのが基本です。
例えば、製品企画部が立案したコンセプトに対して、製剤研究部が実現可能な付加価値かなどを検証したり。あるいは、製剤設計において使う添加剤を変えたら今の試験法ではうまく測定できなくなったりすると、製剤研究部から物性研究部に試験法を変えてもらうようお願いしたり。そういうことは、頻繁にありますね。

研究開発部門以外との関わりも、もちろんあります。
開発した医薬品を工場で生産していく工業化は技術部や工場の生産技術部が主導で行いますが、実生産のスケールで安定的に製造できるか、品質に問題はないかなどを研究開発部門でも確認します。

研究開発職の大変さとやりがいは?

一番手で確実な上市を目指しているため、当然、スケジュールをきちんと立てて検討しているのですが、トラブルが発生するとタイトになりがち。やはりプレッシャーは感じます。 だからこそ、自分の手がけた医薬品が販売されたときは嬉しいです。販売される際に、製品のパンフレットを上司が渡してくれるのですが、その時はニヤッとしてしまいます(笑)。

でも、それは最後の部分です。開発段階でも、例えば先発医薬品と自社品の有効性が同等と証明されなければ国に申請はできません。最近は難溶性薬物が多くなっており、同等性を得るのが難しくなっています。そのため、同等性を得るのが難しい品目で同等になったときは本当に嬉しく、こみ上げるものがあります。
また、品目によって同等性の難易度が高いものや純度の規格が厳しいものなど、課題が違うので、それらを一つひとつ乗り越えたときは、そのたびに達成感を覚えます。

研究開発の経験を活かし、社内報の制作やプレス対応などを手がける

現在、手がけている業務は?

広報部門に所属し、社内向けと社外向けの広報業務を手がけています。
社内向けとしては社内報の作成を担当しています。広報メンバー4人が持ち回りで、企画、編集をしています。他にも業務改善の一環としてDX化を進めています。前部署でDX化チームに所属していたので、研究開発の枠を超えて活用できるポータブルスキルを身に付けたことが、今の業務に役に立っていると実感しています。

社外向けでは、プレスリリースの作成と発表後の報道関係者対応などを担当しています。研究開発職のときとは異なり、会社全体の動向を把握する必要があるため、視点を変えて物事を見ることが求められます。そのうえで、正しく理解し、報道関係者に分かりやすく説明できるよう努めなければなりません。

研究開発部門からまったく違う部門に移ったのは、社内でも珍しいですね。
異なる分野にチャレンジしようと思った直接のきっかけは、2024年4月に始まった社内公募制度です。広報部門なら社長を始め経営層の考えを直接聞く機会が多く、働くモチベーションにつながると思って応募しました。
もう一つは、研究開発を11年半やってきて、製剤研究を一通り経験できたと思ったからです。もちろん、そこから深く追求していく方もいらっしゃいますが、私は人生のキャリアプランとしていろいろなことを経験したいという想いがあってチャレンジしました。

私のように他部門への異動は珍しいですが、研究開発部門内での異動は最近では珍しくありません。
一括りに研究開発といっても、例えば製剤研究部と知的財産部では働き方も業務内容も違うので、異動は新しいチャレンジになります。
ただ、もともと連携を取りながら研究開発を進めているので、全体の流れやその部署のおおよその業務内容は理解しており、違う部署に異動しても前部署の知識を活かして活躍できます。

現在の業務で、研究開発の経験を活かせているところは?

広報メンバーはキャリア入社の方も多く、全員が医薬品の研究開発、製造に詳しいわけではありませんから、私が培った知識を共有することができると考えています。

また、広報物の企画、制作にも役立つと思っています。実際にこの前も、経験を活かして新製品の開発秘話を取り上げた社内報をつくりました。
新製品を研究開発した担当者のコメントをもとに記事を作成するのですが、自分の知識を活かして、研究開発職出身ならではの目線で編集。そのうえで、社内報は全社員が読むため、研究開発職以外の方はイメージしにくい内容を分かりやすく表現するように工夫しました。
できた社内報は、「今までとちょっと違ったテイストで面白い」という言葉をいただきました。研究開発職のときのやりがいとは違いますが、とても楽しいですね。

また、先ほどお話しした「SAWAI HARMOTECH®」「QualityHug®」などに挙げられている技術について、詳しく説明できるのは研究開発出身の私ならではだと感じています。
報道関係の方々にも詳しく、分かりやすく、また熱量高く、沢井製薬の技術力を伝えていければと思っています。

研究開発の流れ

研究開発の流れ図版

※こちらの掲載情報は2025年3月末の情報です。

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